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模倣犯 [本]

10年以上前の話題作をやっと読みました。
文庫本にして全5巻。
かなりの長編なので、随分前に購入したものの、旅行用にとって置いたのです。
それが、最近待ち時間の長いことをしているもので、その暇つぶしに「楽園」を読み始めたところ、主人公が模倣犯の女性と同じで、その人物像を知るには先に模倣犯を読む方が正解と思い、やっとこ本棚から引っ張り出しました。

今更ですが面白い!!
なにぶん長編なので、全5巻のうち3巻くらいでちょっと中だるみしてしまったものの、いっきに読み進めました。まるで推理小説を日夜を問わず読み耽るサザエさんのように、やや日常生活に支障をきたしながらも、読み進めずにはいられなかった。
あまりにも模倣犯の話に入り込んでしまったので、たまたまワイドショーにチャンネルが合って事件のレポートを耳にすると、「あの事件に新展開があったのかな?」などととっさに思ってしまったほどです。

いろんな伏線がストーリーの縦緯に織り込まれていてそれらが見事にストーリーに厚みを持たせているのはさすがだなぁと思いました。

が、いくつか消化不良の伏線も。
以下ネタバレなので反転表示。
一つは、携帯電話を拾った子供の母親のその後の行動。おそらくは警察に届けられて事件解決への手がかりとなったのだろうけど、子供の病気のことに関する描写に比べてその辺をまったく触れていないのはおかしな感じ。 もう一つは、ピースが中学校時代に1週間ほど学校を休んでいたことについて、その事情がよくわからなかったこと。ピースが長い欠席をしたせいでヒロミは悪夢の話を和明に話してしまうのだから、そこの事情はのちのち重要になってくるのかな? と予想したのに、なにも語られていなくて残念。

すべての描写の理由を説明する必要はないのだろうけど。

で、小説が素晴らしかったので、フアンの間で悪名高い中居くんの映画の方も怖いもの見たさで見てしまいました。

ひどい。
今世紀最大の駄作と言われるのも無理はない。
中居くんの演技うんぬんよりも脚本と演出がひどい。
森田監督もできない仕事は引き受けるなよと言いたい。出来ないと断る勇気ってやっぱり大切だなと逆に教訓をもらってしまったほどです。

もう10年以上も前の本ですが、古さを感じさせず、長時間の読書労力にじゅうぶん応えてくれる内容なので、未読の方には是非オススメします。
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『八日目の蝉』 [本]

角田光代『八日目の蝉』。

待ち合わせまでの時間つぶしにコーヒーを飲みながら本でも読もうかと書店に入ったら、
井上真央&永作博美のドアップ写真が帯になって平積みされていたので購入。
角田光代の本は『対岸の彼女』以来2冊目。

おそらく来るであろうタイムリミットがある内容なので、次へ次へと引き込まれます。
ただ、対岸の彼女同様、登場人物の誰にも共感できず。
どちらの作品も「自分探し」というか「自分の居場所探し」の女性が主役であったりワキを固めていたりするので、読んでてもなんだかお尻座りが悪いというか、常に居心地が悪い感じで。
NHKじゃないけど「無縁社会」という言葉が浮かんできます。

この本、帯のお二人を主役にして映画撮ってるみたいですね。
キャスト陣に小池栄子の名前があったので、「大奥」のあの怪演(?)再びとばかりに、妻役なのかと想像したら、友人役なんだ。つまらん。妻役は森口瑤子ってことなので、なんだかチョコチョコと健気なイイ人風を出してきそうで期待できない。井上真央ははまりそう。

原作読んだ後にあれこれ想像するのって楽しいな。


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ゴールデンスランバー [本]


伊坂幸太郎。

初めて読む作家さんです。
最近は、書店で平積みされている本を買って読む、、、ってのを楽しんでいて、ありゃりゃ、、ってのもあれば、作家名からは出会うことが無かった本を手に取ることが出来てラッキー! ってこともあります。
ゴールデンスランバーは後者。
平積みされているんだから話題の本なんだろうけど、作家名も作品名も初めて知りました。

ミステリー好きながら勧善懲悪的結末が好きな私としては、大団円!とは言えない結末が気に入らないといえば気に入らないけど、でも、まあ、しょうがないのかな。

解説のところに、作者の言葉として「物語の風呂敷は、畳む過程がいちばんつまらない」という一節が紹介されていました。
なんだかわかるーーー。
もう結末のつけ方もなにもかもわかっているのに、これまでの伏線を拾って歩く(ちゃんと拾っているか確認する)作業ってのは、確かにつまらなそう。

そんなことを言う作者の作品だけあって、すべての伏線がしっかりと拾われていて、あれ?これって、、、?? と前に戻って読み直してみるとしっかりと腑に落ちます。

年末年始の長期移動のおともに良いですよー。


走ること [本]

最近めっきりナマケ気味なのであまり大きなことは言えませんが。
本日、街をぶらついている時にふと目にした本。



村上春樹「走ることについて語るときに僕の語ること」。

私は本を読むのが好きな方ですが、10代からずーーーっとミステリー小説街道を突っ走ってきたので、村上春樹との接点はありませんでした。 
でも、お気に入りスープカレー屋のpicanteとvoyageにan・anのバックナンバーが揃っていて(an・anも私とは接点のない雑誌だけど)、巻頭に連載されている村上春樹のエッセイに二十数年来のランナーであることが書かれていたのを読んで、村上春樹が好きになりました。
いきなり「1Q84」なんて敷居が高いし、かと言っていまさら「ノルウェイの森」ってのも、、。 
そんな私にこの本はうってつけ。
普段から漠然と抱いている「なんで走るんだろう」を一緒に考えてくれる本です。
走ることをめぐる様々な感情が見事な言葉で表現されていて、さすがだなーと思います。
村上春樹のマラソン歴(20数年)も月間走行距離(月間260キロ~310キロ)も、私なんぞとは比べものにならないくらいすごいので、読んで己を振り返るなんてちょっとおこがましいですが。

私が走り始めたのは、2007年の春。
それまでもジムのトレッドミルで走ってはいたけれども、それは大好きなエアロビのレッスン60分間最後まで息切れせずに踊るためのトレーニングの一環でした。 エアロビ好きが高じると次は大会に出たくなる。だけど一人で大会に参加するのは不安なのでダーリンを誘ったところ、却下され、、。 
そのころになると「大会とつくならばエアロビでなくともマラソンでもいい」というわけのわからない心境になっていたので、走り好きのダーリンとハーフマラソンにエントリーしたのが走ることの始まり。 
大会に出ると、次の目標が生まれ、今に至っております。

人には「走る人」と「走らない人」の二タイプがあるように思います。
いろいろな人と出会って(いろんな人と出会う人、出会わない人ってのもあるけど)その中からベストフレンドやパートナーを選ぶわけだけど、その過程で小さな分類を繰り返ししているのかなーなんて漠然と思う。

村上春樹と私とはまーーーーーーーーーーったく違う世界に暮らしているわけですが、ただ「走る人」ってつながりだけでなんだか身近に感じます。
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孤宿の人 [本]

久しぶりに、面白くて読むのが止まらず、でも残りページが少なくなるのが惜しくなる本でした。

上巻のうちはなんとか寝る前の読書として1章区切りでやめることができたのだけど、下巻に入ってからは昼夜関係なく読みふけり、とうとう朝まで読み進めてしまった。

もともと宮部みゆきは大好きな作家だけど、現代を舞台にした作品の中にはあまりのストーリー展開の痛ましさに気分が悪くなるものがあって刺激が強すぎる! と読むのをやめていたのでした。
作品が多い江戸モノはあまり好きじゃない、、、と敬遠していたし。

ところが、ところが、完全な食わず嫌い。
江戸舞台のほうが人間関係がどんなにドロドロでも複雑に絡み合っていても、今から遠くはなれた時代設定のおかげで身近な恐怖として迫ってこなくて、安心して読み進めることができる。
できれば、長旅のお供として巡り合いたかった作品。
これがあれば長時間移動も絶対に苦にならない。




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